こんにちは、あしやまひろこです。
VRCの世界では「VN3ライセンス」なるものを作っており、結構広く使われている状況もあるのですが、今日はアバターのイメージについてちょっと思うことがあるので備忘も兼ねて記事にしたいと思います。
VN3ライセンスを改変した各種ライセンスの中には「アバターの品位を貶める利用の禁止」のようなものを独立にした項目にしている作家さんもおられ、それは相当初期からあることを知っているのですが、あしやまの個人的な考えからこの項目は素のVN3ライセンスには取り入れていません。
それは、アバターの品位を貶める利用を推奨する(許容する)ためにあえて入れていないというわけではなく、現実問題としてどのような事柄が品位に係るのかは、アバターの性質にも拠るし、時と場合によっても異なるだろうことから、そのような項目を入れてしまうと普通の生活にも支障が出たり、あるいはクリエイターへの問い合わせ頻度が相当高まってしまうのではないかという懸念があったためです。現在Ver2の更新作業中ですが、5年目の大幅更新にあたるVer2でもやっぱり、品位の話は入っておらず、ある意味でユーザーの品性を信頼している状況です。
とはいえ、このところ、VRChatがメジャーになるにつれて、アバターのイメージ像に対する過激な言説が、以前より多く見られるようになってきたような気が個人的にしています。
というのも、「●●アバターは使いは××だ」みたいなものです。
ひどいものだと「●●アバターは弱者男性」みたいな、仮に「●●アバター」を「●●高校の学生」とか「●●人」に置き換えたら、単なる差別的発言になってしまっているようなものも見受けられます。
これについて思うのは、まず規約的な問題ではないだろうという話です。
こういった言説は(自己言及もあるだろうが)おそらく他者によってもなされるもので、そういった他者の言説を、利用規約で縛ることはできませんし、そういうマナー的なものを規約にいちいち書かないとならないというのも、状況がさもしい気がします。
そして、このアバター像にたいする言及はどの程度問題なのか(健全なのか)?の本当のところの意味が、まだ未解明であるがゆえに、多くが問題とみなされず、ネタとして消費されてしまっている状況にもあるように思います。
すでに上記に書いたのですが、「●●アバター」を現実世界にある属性に置き換えてしまった場合、単なる差別的発言になってしまっているような投稿が、プチバズっているときがあります。
しかし、VRChatのアバターのように、自分自身の姿が任意に属性を決めることができる状況というのは、おそらく人類が生まれて数百年の間で初めてのことなので、それがどの程度固定的なものなのか、尊重されるべきものなのか、というところの定義そのものが現在欠落しているのだと思われます。
古くから、格闘ゲームのキャラクタで「●●キャラクタ使いは××だ」みたいな言説はあったような気もするのですが、アバターの場合は、よりその人本人のVR上での生活する際の、実質的な身体を指すものとなってしまうので、深刻度は異なるのではないかという気がします。
リアルな人種差別のようなものは、その批判の原理は「本人によって変えることのできない属性への批判だから許されない」のような強い意味があると思うのですが、アバターの場合本人の意思で変えることは十分にできるわけで、そいういった批判もちょっと的外れな気がします。
ただ僕が思うのは、アバターはその人の表現したい何かであることはおそらく間違いないだろうし、その表現したい何かを表現している人に対して、直接的に特定の人に対して●●だというのではなく、ある一定の表現をしている人(同じアバターを使っている人)に対して、一からげに「××だ」というとき、そしてそれが、現実世界においては明確な差別であるような言説であるような場合は、その人たちの中に含まれる、そうではない人に対するスティグマの形成のような話であって、やはり人種差別的な意味を持つのではないかと思えるところです。
それに、そもそも論でいうと、仮にそれが当てはまっている人がいたとして、「××だ」と言い放つことは、現実社会において、あまり良いとはされていないでしょう。
ただそれでも、下衆な雑誌や煽りの文脈で使われることは確かにあって、それをどの程度社会が受容するのか、あるいは、社会的にどう捉えるのかということは重要な観点なのではないかと思われるところです。
つまり、例に挙げた「●●アバターは弱者男性」みたいな、現実世界において発せられたら明確に差別的な表現であったとして、それを、VRChatユーザーが、そのアバター利用者のことを思いやって、その表現は差別的であると認識し、差別的言及であるという態度で対応することが重要なのではないかと思えるところです。
現実社会においてだって、頭のおかしい人による、差別的言動は日常茶飯事です。
そして、そういった「差別」を結局のところ大衆がネタとして消費してしまっているのも実際のところでしょう。
ですが、マトモな人間はそういった差別的言動に対しては、批判したり、そもそも見ないようにしたり、あるいは、差別的言動であると認識したうえで、それをネタとして消費しているのです。
VRChatのアバターにしても、そのアバター利用者の立場に立ってみて、純粋に自分の表現したい姿がそのアバターだっただけ、という人がいるであろうことを想定したうえで、そういった差別的言動について、そもそも差別的言動であるということを認識をもって、自分の発言を考えてみたり、流れてくる言説をどう公共の場で語るのか、あるいは私的な場で語るのかを気を付けてみたほうがいいのではないでしょうか。
僕個人として、特定のアバターにたいして特定のイメージを個々人が持ってしまうことは、まああるだろうと思うところで、それを絶対に語るな、ネタにするな、とは思わないのですが、とはいえ行き過ぎた言及は差別であるし、その差別に無自覚な言及や、無自覚な対応というのが一番よくないのだと思います。
でも、市販品アバターを使っている人からしたら、そいう心境になってしまう人はいるということは分かったうえで、差別的言動には対処してほしいなと思います。
個人的にヤバいと思うのは、魑魅魍魎の発言を差別だと認識できてない受け手側のスタンス(リテラシー?)かな?とおもってます https://t.co/4xoD2Iy3Vq
— あしやまひろこ(月曜日 東3 エ16a) (@hiroko_TB) January 14, 2025
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